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続・多賀山日記「遊びをせんとや」

いろんな場所で飲んできたなあ。「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ」などと嘯くつもりはないけど、一杯の酒、ひとつの出会いが今のぼくをつくりあげてきたことはまちがいない。ある人の言葉だが、ひとりの人との出会いが一冊の本を生むのだ、と。とするとぼくの場合、出会いの場というのは確実に

続・多賀山日記「あんただけのもん」

八月十九日、父の七回忌法要を終えた。「六年なんか、あっと言うまやねえ」母が大きなため息をついた。暮らしていた京都を遠く離れた鹿児島で迎える七回忌だ。集まる親戚縁者もいない。お寺さんに短いお経を上げてもらうだけの法要だった。法要の後、精進落としにはならないけれど、せめてもの供養にと父の好物だった鰻重を母と食べた。そうして久しぶりにい

続・多賀山日記「分断の夏」

二〇一一年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震による地震・津波の影響で、東京電力の福島第一原子力発電所でチェルノブイリ原子力発電所事故以来最も深刻だとされる原子力事故が起きた。放射能汚染により多くの人々が居住地を離れ、今も故郷に帰れない人は多い。しかしそんな人々に対して、避難開始直後からSNS上で「補助金や給付金で潤ったんだろ

続・多賀山日記「猫が笑っていた」

暑くて眠れなくて、天井をじっと見ていた。天井裏に何かが潜んでいる気配がする。次の瞬間、そいつが天井を突き破って下りてきた。脚? 4本の、とんでもなく長い黄色い脚・・・。キリン? 僕は驚いて飛び起きた。すると今度は、畳を突き破って頭が飛び出した。そいつは笑いながら大声で言った。「正解! 私がキリンです!」「暑さでやられた・・・」僕がつぶ

続・多賀山日記「大切なこと」

写真を撮るときに、風景ということをよく考える。「風」はわかりやすいが、問題は「景」だ。これって「光」という意味だそうだ。つまり「風景」って風と光りを感じることじゃないかと。そんなことをいつも思っている。風景を撮るということは風と光りを撮ることなんだと。風っていうのは「空気」って置き換えてもいいだろう。すると写真を撮るってことは、「