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続・多賀山日記「ぼくらの時代」

by 清水哲男

「熱風共和国」の舞台を歩いてきた。

主人公のひとりハジメの家のあっあたりからスタートし、ハツエ一家がバラックを建てて住んでいた久世橋の下、そうして五十数年前ぼくらが共和国と呼んで走り回っていた桂川の河川敷あたりをたっぷり時間をかけて。

ハジメは在日コリアンで、生き辛い日本を捨て、祖父の祖国北朝鮮に帰国する直前だった。ぼくは彼と小学生最後の夏休みを桂川の河川敷で毎日のように過ごした。「熱風共和国」はその出会いと別れを綴ったものだ。

きれいになったな。あの頃はもっと混沌としてたのに。多分それは昭和三〇年代という時代の混沌がそのまま映し出されてたンだろうな。

橋の下を役所の人間に追われて夜のうちに姿を消したハツエ一家。彼らが去っていった南に延びる堤防の上の道も、舗装され自転車専用道路になっていた。

きれいすぎる風景って、なんだか面白くないなと思いながら歩いてたら、突然目の前に小学生の集団が飛び出してきた。

一瞬あの頃のぼくらの姿にダブったが、継当てのある服なんて誰もきてなかった。時代は変わったンだ。あれはぼくらの時代だったンだ。

ちなみに帰国したハジメとは、その後なんの連絡もとれていない。

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