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続・多賀山日記「ペンギンの島」

by 清水哲男

年甲斐もなく「ペンギンの島」というゲームにはまっている。

離れて暮らす長男と話をするツールとしてだ。二人でゲームアプリをつくろうと企て、考える材料にしている。彼は今三十三歳。五歳くらいからゲームに夢中になり、小学校に上がる頃には「将来の夢はゲームをつくる人」と口にしていた。ラグビーや音楽に夢中になったことはあったが、基本は常にゲームだった。大学も情報処理を専攻し、傍目からはゲーム制作者一直線の道を歩んでいるように思えた。

だが彼は三年生の夏、突然大学をやめた。彼は言った。

「キャラクターをどう動かすか、どんな画像をつくるかじゃなくて、キャラクターにどんな人生を描かせるか、そんなストーリーを考えたい。プレーヤーと一緒に描きあげる物語をつくりたい。それは情報処理という学問じゃないとわかった。俺自身がもっといろんな意味で成長せんと」

と。それって、紙とデジタルの違いはあるが、「俺と同じ道に進むということか」と親父は驚く。大学をやめてまでと母親は落胆し、「あなたがそそのかしたのね」と僕を責め立てた。それは誤解だと弁解しながらも、心の中ではなんとも言えない優越感を感じていたことを覚えている。しかし、と親父は思った。彼も僕と同じで大金儲けは望むべくもないなと。案の定大学中退後の彼はアルバイトで生活費を稼ぎながら悪戦苦闘を続けてきた。

いま彼はゲーム制作会社でゲームづくりのノウハウを学んでいる。そろそろ親子で何かやらかそうかと話をしはじめたところだ。親子二代で夢中になったスチーブンソンの『宝島』のような物語を二人で書いてみようかと。

小さなモニターの中をペンギンたちがよちよち歩いている。少しずつ仲間を増やし、島を大きくしていく。

人生そんなに簡単じゃない。でも一歩ずつ、少しずつ、まっすぐでなくても、回り道寄り道をしても、歩いていけたらいいじゃないか。そんなことを託すのも面白そうだなと思う。

それこそ僕が歩いてきた道だし、彼が歩もうとしている道なのだ。

このコラムは「揺れて歩くニュース」6月28日号のために書き下ろしたものです。

https://interearth.jp/archives/6656

写真撮影は金久まひるさん

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