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続・多賀山日記「今日もしらす丼」

by 清水哲男

久しぶりの薩摩川内取材。さて、昼は何を食べようか、と思案することもなく、いつもの店に足は向いていた。テーブルにつき、いつもと同じものを注文した。しらす丼だ。あら汁、サラダ、小鉢が二つついて千円だ。

関東でしらす丼というと生のしらすがのっているらしいが、鹿児島ではさっと茹でて干したものがのっている。これに卵黄、炒りごまときざんだ青紫蘇をのせ、わさびをといた出汁をかけまわして食べる。海苔はメシとしらすの間に敷き詰められている。

写真を見た多くの人が食べたいと言い、連れていけと言う。いいよと気安く応じる。ところで、この店はどこだと聞かれる。薩摩川内市久美崎、原発の原子炉建て屋から一キロも離れていない場所にあると教える。しらすは原発の沖合で獲れたものだとも。

そう聞かされて、それでも連れていけと言う人は少ない。

なぜ行く気をなくした?と問う。

「大丈夫だとは思うけど、なんか、気持ち悪いじゃないか」

と答える人がほとんどだ。

そう、原発は不気味で気持ち悪いものなのだ。

だが、それを、川内に、久美崎に、押し付けたのは誰なんだろう。大都市ではなく、地方に押し付けたのは誰なんだろう。

「だって、薩摩川内市はほかに産業もないから、補助金目当てで進んで誘致したんだろ」

「しらすも、どこで獲れたか聞かないと、安心して食えないなあ」

何を言ってんだか・・・。

そうやって我々は分断されてきたんじゃないか。 そんな話を思い出しながらしらす丼を頬張った。

ぼくは薩摩川内にくると必ずこの店をのぞく。そして、海を眺めながらしらす丼を食べるのだ。

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